側弯症とは
側弯症とは背骨が曲がってしまう症状で、背骨のゆがみ(偏位 へんい)やねじれ(軸回旋 じくかいせん)に伴い背中が隆起したり、脊柱が弯曲する病気です。
(※出典:東洋大学 メディカルロボティクス研究室の発表スライド)
発症は学童期や思春期の時期で、小学校高学年から中学生までの子供たちに多いのですが、現状では小学校や中学校の健康診断で発見されたまま、放置された状態になってしまうことが多いようです。
若いうちは痛みを伴わないことも多いようで、放置しているうちに弯曲や回旋角度が拡大してしまい、コルセットや手術を薦めらる状況に至ってしまうことが少なくないようです。
また成人側弯症という、骨格の成熟や弯曲が固定した後に発症するものもあります。女性であれば閉経後、加齢によるものや、腰痛、すべり症、骨粗鬆症、脊椎不安定症などに伴って起こると言われています。
側弯症の分類
痛みや生活習慣からくる二次的側弯から、特発性側弯症という原因不明の側弯まで、側弯症も幅が広いのですが、その分類法もいまだ正確には整理されていない状態です。
「側弯症の分類1」 側弯症は、大きく「機能性側弯症」と「構築性側弯症」の二つに分けられます
▶︎【機能性側弯症】とは
機能性側弯症とは、普段の姿勢やスポーツなど今までの生活習慣によるものや、脚長差や股関節疾患などによる骨盤傾斜など、何らかの原因により一時的に生じた側弯の状態のことで、いわゆる二次的な側弯で、その原因を除くと変形が改善されるものを言います。
▶︎【構築性側弯症】とは
その中でも原因がはっきりしていない側弯症を「特発性側弯症」と呼びます。
▶︎【特発性側弯症】とは
側弯症を発症する原因はたくさんあると言われていますが、家族内発生が多いことから遺伝の関与が考えられます。いまだ特定の遺伝子は明らかになっておりません。
「側弯症の分類2」 年齢による分類
▶︎【乳幼児期 側弯症】 3歳以下で発症し、男児に多いです。
▶︎【学童期 側弯症】 4~9歳に発症し、進行する例が多く見られます。
▶︎【思春期 側弯症】 10歳以降に発症し、多くは女子です。思春期を中心に発症し、体型的に似た特徴を持つことが多いと言われています。華奢(きゃしゃ)、背が高い等。
またこのタイプの側弯症の90%以上は、胸椎(背骨の肋骨がつく部分)では左側に側屈(右凸)し、腰椎(腰にあたる部分)は右側に側屈(左凸)がみられます。思春期特発性側弯症の病像
(※出典:慶應義塾大学 理化学研究所 2011年10月24日
思春期特発性側弯症の原因を解明、治療への大きな一歩)▶︎【成人期 側弯症】 若年期の側弯が、日常生活での習慣や悪姿勢により進行したり、骨や筋肉の弱化、老化、変性により疼痛を伴って進行する。脊椎の後弯を伴うことも多い。
その他の原因としては、生まれつきの「先天性」のものや、神経線維腫症やマルファン症候群など「症候性」のものがあります。
側弯症検査
簡単な方法で側弯症を疑うことができます。
▶︎立位検査
- 日常生活のなかで、ズボンの丈や洋服の左右差肩の高さに左右差があるかどうか。
- 肩甲骨の高さと突出の程度に左右差があるかどうか。
- ウエストライン(腰の脇線)が左右非対称であるかどうか。
▶︎前屈検査
両方の手のひらを合わせ、肩の力を抜いて両腕を自然に垂らし、膝を伸ばしたままでゆっくりおじぎをさせます。肋骨や腰に左右のいずれかに盛り上がりがあり、左右の高さに差があるかどうか。
立位検査と前屈検査:日本側弯症学会編集、側弯のしおり『知っておきたい脊柱側弯症』より引用
側弯トレーニングとは
問診や検査をしながら側弯の原因を追及します。 レントゲンを見ながらご自身の側弯の特徴を把握して頂きます。 保存療法である運動療法(側弯トレーニング)を行います。
- 自身の感じるニュートラルと客観的なニュートラルの違いを感覚で捉える訓練をします
- 生活習慣の見直し(背骨を矯正する寝方、座り方)を行います
- 側弯により緊張した部位を緩める(マッスルリセッティング)
- 肋骨の左右差を呼吸により矯正します
- 筋力の向上トレーニングを行います
(ピラティスマシン、逆立ちマシン、ぶら下がりポール、ボール、ローラーポール等を使用)
▶︎注意点
診断は医師のみが行うものであり、側弯トレー二ングでの運動療法の分類化は医師の診断とは違い、運動療法の専門家は診断を行うものではありません。
運動療法の前に、ご自分の状態をしっかりと確認したい場合は、まず西洋医学の医師の受診をお勧めします。▶︎持ち物、服装
側弯症を正確に診断するためには、最終的には医師によるX線(レントゲン)が必要です。画像のコピーやCDROMをお持ちください。鮮明な画像程、情報が多くなります。
身体のラインがはっきりわかるような服装でお願いいたします。▶︎スタジオでのトレーニング頻度や回数
正確なトレーニング方法を身に付けて頂くためには最低三回はお勧めしています(側弯トレーニング3回セット料金あり)。しかし毎日のご自宅でのトレーニングは必須です。ご自宅でのトレーニングに自信のないかたは、頻繁に通って頂くことをお勧めします。
どちらにしても生活習慣や日常動作の改善は必須です。「自分のまっすぐ」という感覚と「客観的なまっすぐ」にはギャップがあり、落差を克服するためには日常で頻繁にご自身をチェックすることが必要です。それが不可能な場合や進行が急速な場合は装具の併用をお薦めします。
側弯症の保存療法は装具療法と両輪をなして矯正力を発揮します。装具は現在日本で提供されているものは残念ながら統一された効果を保証するものはありません。当スタジオではドイツのGensingen Braceを奨励しています。詳細はお問い合わせください。▶︎トレーナーとして、体験者として
私自身も成長期にスポーツで骨折をし、その後の姿勢や動作が偏っていたため側弯になりました。
その後ダンストレーニングで益々左右不均等な筋肉をつけてしまい、そのため20・30歳代はぎっくり腰や腰痛との闘いでした。常に自分の身体のバランスやセンターを気にかけていましたが、感じるセンターと客観的なセンターのギャップに悩んでおりました。
50歳代にはいり、身体構造や解剖学を学んだり中村尚人先生(側弯トレーニングセンター代表)とお会いして、20度から10度に側弯が減少しました。ですから体験者としての立場からも、少しでも側弯症に悩まれている方やご家族の助けになりたいと思っております。
書籍「シュロス法による側弯症治療」
本書は、シュロス法の三次元的側弯症治療の基本図書であり、側弯症治療に携わる全ての療法士の必携であり、シュロス法の運動を行う患者の手引となるものです。
シュロス法の目的は、呼吸量を高めることで、湾曲し捻れた脊柱をまっすぐにすることです。このため、様々なエクササイズと特別な呼吸テクニックを組み合わせ、
個別のケースに適した運動を行います。これらの運動を取得し、定期的に行うと、驚くべき結果が得られます!
側弯症に特化して進化してきたシュロス法の方法論を用いた的確な評価に基づく個々の側弯症のタイプや特性にあわせたトレーニングの実施により、進行を遅らせたり症状を和らげたりすることが可能です。
ドイツでは、側弯の程度が改善するケースも多く報告されています。
ドイツでは数ヵ月の合宿にてシュロス法が実施されています。ですが日本の現状を考えますと、そのような実施方法は困難です。
この本の監修の中村尚人先生はシュロス法を元に、日本人にあった側弯トレーニングの方法を作ってトレーナーを養成されています。エースリースタジオではその方法に沿いながらトレーニングを実施させていただきます。
また隔週日曜日は、中村尚人先生主催の八王子市側弯トレーニングセンターにてトレーニング指導を行っております。